呪いのような言葉

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呪いのような言葉

『祝 累計ダウンロード数100万回突破!』 目の前には同じ所属事務所の他のアーティストを祝う、大きなポスターが貼ってあった。 今の俺には、「100」という言葉が疎ましく、破壊したい衝動にかられた。 「何するんですか!!」 近くのテーブルに置いていたカッターで、そのポスターを×印にして、そのポスターが誰のか分からなくなるくらいに突き刺し、引き裂いた。 そして、不審者のような扱いで異様な目で見ている周りの数人のスタッフに手を止められ、初めて気がついた。 バラバラになったポスターについていた赤いしみ。 無我夢中で抵抗した拍子に、自分の左手にカッターが触れ、手の平が数センチ切れてしまった。 いっそ、このまま自分さえも刺してしまえばよかったんだ。
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