はじまりの朝は

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所謂“壁ドン“ってやつで、背中は壁にぴったり。前は佑で挟まれている状態。そこにさらに私の顔の横に手を付きさらに密着度は増す。佑がこれをした破壊力はすごくて、私にはお手上げ状態。 心臓がバクバクして、きっと顔も真っ赤。それなのに、一向にやめてくれない彼は、こういう時こそ意地悪で、付き合っているときから感じてはいたけど、まさかそこまでとは私も考えなかった。 上から見下ろしているだろう佑は、私の反応を見て楽しんでいる。私はさらにうつむき加減が増し、今見ているのは自分の足と佑の足。その足ですら私を挟んでいるから、じっとなんて見てられない。 すると右手で壁をついていた反対の手ですっと私の顎をクイッと持ち上げ、無理矢理目を合わされた。それでも視線は直視できずに、遠くを見ている。 「凛」 すごく甘く低い声で私の名前を呼ぶ佑。きっと本人には無意識な声色で私を惑わす。あんな声で呼ばれたら見ないわけにはいかない。 視線を佑に向ける。それだけでもドキドキして、今にでも崩れてしまいそう。 佑は私と目が合った瞬間にとても愛しい優しい目で笑った。この顔が私は一番好き。 とても愛されている、そう感じるの。 「佑」 「凛。さっき何を見ていたの?」 ん?って少し首をかしげていう佑はとてもずるい。そう言われたら正直に言ってくれると思っている佑は確信犯だ。実際逆らえず、言ってしまうのだけれども。 「佑。佑を見ていたの。その…」 「うん、知ってる」 やっぱり見られていたことに気づいていたんだね。それでも私の口から言わせるなんて…やっぱり意地悪だ そう言った佑は、だんだんと私との距離を近づける。一瞬私と目が合い、「凛」とつぶやいた。 それだけでもいっぱいいっぱい。私の視界は佑でいっぱい。きれいな顔が私を惑わせる。 「ゆ、佑」 「しっ、黙って…」 優しく私に口づけた。一旦離れても、また口づける。だんだんと深くなってく。それでも佑はその先になかなか進んでくれない。 じれったい…
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