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彼はそれに気づき、ぺろりと私の唇を舐めた。まるでこれからの行為を予感させるかのように…。
とても恥ずかしいけど。私を求めてくれているって感じるから嬉しい。もっと私を求めてほしくて。私を感じてほしくて。もっとキスしてほしくて。私はそっと口を開いた。
すると彼は躊躇わずに口の隙間から私を捕まえるかのように、するっと舌が入ってきた。私を執拗に追いかけそして絡め取る。最初は恥ずかしがっていた私も、彼にあんなに求められるとどうにでもなってしまえと少しずつ答えていく。
彼は気が付き、さらに体を壁に押し付け、私の体が崩れないようにしっかりと左腕で腰を支える。右手は私の手を絡み取り、頭の上で拘束する。
強引だけど、キスはとても優しくて。
部屋に響き渡るのは、お互いの口から洩れる甘い息音と求め合っている水音。
いつまでも続いてほしい、続けたい…そんなことを朝から考えてしまう。
でも今日は、普通に平日でお互い仕事に行かなくちゃいけなくて。
名残惜しいけど、私たちは自然と唇を離す…。
離れた唇から繋がっている銀の糸。それをグイッと親指で拭ってくれた佑は、とても色っぽく、また不覚にも見とれてしまっていた。
「そんな目で見ないでくれる?せっかく我慢してるんだからさ」
「うええ!?わ、私そんなつもりじゃ…」
「凛はそうかもしれないけどさ、俺はいつでも凛と一緒にいたいって思ってるんだから」
ほんとに、佑ってば…。どうしてこんなに甘いんだろう…。こんなに幸せでいいのかな?
「ほら!凛!早く食べよう。これじゃ二人とも遅刻だよ」
「わ!そうだった!」
パタパタと寝室から出て、二人で朝食をとった。朝は必ず二人で。最初に決めた私達の決まり事。いくらお互いが忙しくても朝は必ず顔を合わせる。例えケンカ中でも。佑は自分が忙しくて中々二人の時間が取れずに私が寂しい思いをしてるんじゃないかって…そう言って決めた。いつも私のことを考えてくれる甘い甘い私の旦那さん。
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