近づく2人

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「ここ、間違ってるよ」 そんな声が聞こえたのは、何故か最後の一桁が合わなくて、作業が止まってる時だった。 何度も見ては確認し、入力に誤りはないと思っていたけれども… 一瞬で見つけるあなたは、やっぱり一目置かれているのだと分かってしまう。 「な、長嶋さん…」 「ん?ここの数式が合ってないみたいだよ」 「え、あっ!そこだったんですね。何度見ても分からなくて…。ありがとうございます!お陰で助かりました!」 「いや、そのくらい大丈夫だよ。だから、あまり抱え込まず、分からなかったら遠慮なく言って。」 「はい」 「今どこまで進んでいて、どこから進めていけばいいか、進捗状況は常に変わってるから、途中から参加してると分からないだろ?」 「…まぁ、そうですね…」 「…そういうところも含めて言ってるから。経理の助っ人だからと言ってそこだけ関わるのはもったいないよ。君がやってることはこんなに大きな規模のものだって自信もって。」 どうしても塞ぎ込み癖が抜けず、黙々と言われたことを作業していた。 数字だけを見る毎日で これが何につながって 何に使われるのか 正直知ろうとしてなかった。 部長から与えられたチャンスを頂き、ただやればいいと思っていた。 それが自分の成長につながるのであれば。
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