4913人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
仕事が終わったら
やっと仕事を終えて腕時計を見れば、21時を回っていた。家に着くのは22時前になるのか…。
早く家に帰って凜の飯が食べたい。
さっき、パスタをリクエストしておいたから、もう気分は凜のお手製のパスタだ。凜の作る料理はどれも美味くていくらでも食べられる。
「はー。お腹空いた」
椅子の背もたれに思いっきり寄っかかり、腕を大きく上の伸ばし、伸びをする。今日は珍しくデスクワークだっだから体のあちこちが凝ってしまっていた。
「主任、終わりですか?俺もあと少しで上がるんでこの後飯とかどうですか?」
「あー悪い、先約があるから。また今度な」
「先約って…もしかして彼女とかですか…?」
「じゃあな、お疲れ」
後輩である小田の質問には答えず、営業部フロアから出る。
彼女じゃなくて嫁なのにな。思わず笑みがこぼれてしまう。
会社から出るまでにも何人かに誘われたが、断った。当たり前だろ。凜の手料理よりも美味いものないしな。それに凜と少しでも長くいたいんだから悪いけど、断るよ。そんなことを気づくはずもない誘ってくる奴らは、「悪い」って一言で断る俺に納得いかないみたいだけどな。
そんなことよりも凜のことだ。凜も残業してたみたいだし、家に着くころはちょうど飯が出来上がってる頃かも。凜にメールしておこうか。
TO:凜
――――――――――――
今から帰る。何かいるものある?
佑斗
TO:佑
――――――――――――
お疲れさま。ううん、大丈夫だよ。
気を付けて帰ってきてね。
凜
凜の「お疲れさま」が一番嬉しい。
…早く会いたい。
抱きしめたい。
抱きしめて凜を感じたい。
最初のコメントを投稿しよう!