おわり

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おわり

「今月末で退職したいと思っています。」 柴田さんのサロンに行った2週間後、私は部長と面談をしていた。 「差し支えなければ、理由を教えてくれる?」 「結婚して専業主夫になります。」 部長はメモを取り続けている。 「結婚のメリットってさ、どちらかの100万円が止まったときに相手を支えられることなんだよね。」 彼女は、毎日100万円が置かれなくなったとしても困らないほどのお金は持っている。私は、仕事を続けていれば100万円が止まったとしても生活はできる。 どうみても支えてもらう確率が高いのは、私の方だ。 職場でも親しい友人がいない私はこの出来事を話すこともなく、一人なら元の生活に戻れるんじゃないかと考えていた。 「でもさ、この100万円の話を誰かに話たくなったら?100万円がもし200万に変わったら悩むと思わない?」 彼女は、不安を煽ってくる。 「最初から事情をわかってる人間って貴重だよ。トオルくんは、話を聞くのが上手だしどんなに強い力で掴んでも怒らないし。」
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