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ヒメって感じって、一体どんなんだよ!?
和を見ると、特に表情は変えていない。
須藤少年のヒメ発言など、まるで聞いていなかったかのように、話をガラッと変えた。
「独りじゃないんだろ?他に誰いるの?」
「よっしぃとアキオ、それとリョウタ。――あいつ、地方の大学行くって知ってた?」
須藤少年があごで指し示した先のテーブルには、彼と和と同じくらいの年頃の少年たちが座っていた。
それを見た途端に、和がクラスメイトたちの囲まれている姿が思い浮かんだ。
和が、本来居るべき場所での、あるべき姿が――。
和は淡たんと言った。
「あぁ、前に聞いた。――悪い。センセイと話あるから」
「あ、ジャマして悪かったな。じゃ、また今度な!」
和の態度はいつものことなのか、須藤少年は特に気を悪くしたでもなく、引き揚げて行った。
「また」
和が少しだけ笑って、それに片手を上げて応じる。
「友達なんだろう?いいのか?」
余りにもアッサリとした和の、須藤少年とのやり取りに、おれの方が気になった。
しかし、おれに答える和は、あくまでもクールだった。
「いいよ。あいつらとは会おうと思えば、いつでも会えるし。――センセイとは、そうじゃないから」
「和・・・」
いや、全然クールじゃなかった。和のおれを見る視線は目は、熱い。――熱過ぎる。
今初めて、気が付いた。
和はその目で、おれを見つめたままで言う。
「センセイ、終わったからオーダーしていい?ハンバーグ食べたい」
「――ソレ、片付けてからな」
おれはその、和の視線を逸らしたくて、もう、コップ一個置くスペースもないテーブルの上を指差した。
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