出会い

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女の手が再び外に躍り出たのは、僕がラジオをつけてしばらくたってからだ。 ジョンレノンは恋人のために作った曲を歌い続けた。 彼女は腕を屋根まで出して風の抵抗を楽しんでいた。 それは彼女とは別の人格を持った別の生き物だった。 彼女は兵士を見ていた。 兵士も彼女に白い歯を見せて何かを喋っていた。 兵士の手が再び彼女の髪をかき分け唇をなぞると、彼女は無抵抗のまま兵士の指を口に含んだ。 その間も彼女の細くてしなやかな手は風になびき、彼女とは別の世界にいた。
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