番外編2 英探偵事務所の平和なひととき

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「こんにちはー」  明るい笑顔で翔平が事務所の中に入ってくる。 「こんにちは、翔平さん。いつもの場所へどうぞ」 「ありがとう、天羽さん」  翔平と一緒に応接へ向かうと、そこにはすでに淹れ立てのコーヒーが用意されてあった。 「いつもありがとう、オウル」 「いらっしゃいませ、椎名様」  挨拶を済ませると、オウルはすぐさまフクロウの姿に戻る。そして、いつもどおり蛍の左肩に収まった。 「いらっしゃい、翔平君。非番の日にも来るなんて、よほどここが好きなんだねぇ」  コーヒーの香りを楽しみながら、クイとカップを傾ける。そんな慧を見て、翔平は苦笑した。 「部屋の片付けをしたら、やることがなくなっちゃってさ。どこかへ行こうと思っても、行きたい場所なんてないし。コーヒーでも飲んでゆっくり寛ごうかなと思ったら、店よりもやっぱりここかなって」 「失礼だなー。ここはカフェじゃなくて、探偵事務所! 職場だよ?」 「まぁまぁ。このメンバーでいるのが一番ホッとするよ」  そういう風に言われると、こちらまで嬉しくなってしまう。蛍の顔に自然と笑みが浮かんだ。 「嬉しいです」 「優しいなぁ、天羽さんは」  翔平の目尻が下がる。すると、慧はすかさずオウルに向かって言った。
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