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「フクちゃん! 翔平君がデレッとしてるよ!」
オウルはチラリと翔平に視線を遣るが、プイと横を向いて、蛍の髪を嘴で弄っている。
「フクちゃん、いいのっ?」
オウルは面倒くさそうに慧を見ると、大きな瞳でまばたきをした。これは、「YES」という返事の代わりだ。
「椎名様が蛍にデレていても、慧より安全です」
「デレる」なんて言葉を覚えたのか……と蛍は目を丸くした。となると、前にはわからないと言っていた「エロ」や「エッチ」の意味も知ってしまったのだろうかと、ふと思う。
するとその時、頭を掻きながら翔平がオウルに言った。
「そうだ。前から言おうと思ってたんだけど、その「椎名様」っていうの、止めようよ」
「……どうしてですか?」
オウルがきょとんとしている。翔平は蛍の左肩に向かって、困ったような顔になる。
「うーん、空間に話しかけてるみたいだな」
「それでは、人の姿になりましょうか?」
「あー……うん、いや! たいしたことじゃないから、そのままでいいよ」
オウルは不思議そうに首をクルリと回した。
何となく翔平の気持ちがわかった蛍が、オウルに向き合う。蛍と目が合ったオウルは、嬉しそうに頭をすり寄せた。
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