番外編2 英探偵事務所の平和なひととき

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「フクちゃん! 翔平君がデレッとしてるよ!」  オウルはチラリと翔平に視線を遣るが、プイと横を向いて、蛍の髪を嘴で弄っている。 「フクちゃん、いいのっ?」  オウルは面倒くさそうに慧を見ると、大きな瞳でまばたきをした。これは、「YES」という返事の代わりだ。 「椎名様が蛍にデレていても、慧より安全です」  「デレる」なんて言葉を覚えたのか……と蛍は目を丸くした。となると、前にはわからないと言っていた「エロ」や「エッチ」の意味も知ってしまったのだろうかと、ふと思う。  するとその時、頭を掻きながら翔平がオウルに言った。 「そうだ。前から言おうと思ってたんだけど、その「椎名様」っていうの、止めようよ」 「……どうしてですか?」  オウルがきょとんとしている。翔平は蛍の左肩に向かって、困ったような顔になる。 「うーん、空間に話しかけてるみたいだな」 「それでは、人の姿になりましょうか?」 「あー……うん、いや! たいしたことじゃないから、そのままでいいよ」  オウルは不思議そうに首をクルリと回した。  何となく翔平の気持ちがわかった蛍が、オウルに向き合う。蛍と目が合ったオウルは、嬉しそうに頭をすり寄せた。
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