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「あのですね、翔平さんは「椎名様」って呼ばれると、他人行儀な感じがして嫌なんじゃないかと思うんです」
蛍がそう言うと、翔平はブンブンと首を縦に振って肯定している。すると、慧がゲラゲラと笑いながら、翔平の肩をバシバシと叩いた。
「あははは! 翔平君もフクちゃんに「翔平」って呼んでもらいたいんだ?」
「いや、別に呼び捨てじゃなくてもいいけど、「椎名様」は固いなぁと思って。僕だって、もうちょっと歩み寄りたいし」
チラリと視線を寄越す翔平が可愛らしく見える。蛍は小さく笑うと、またオウルに言った。
「だから、もっと親しげに呼んであげてください」
「親しげ……何と呼べばいいですか? 慧と同じで「翔平君」?」
「椎名っちとか」
「慧さん!」
「椎名様は私に何と呼んでほしいのですか?」
オウルに聞かれ、翔平はうーんと唸り声をあげる。そう聞かれると、どう答えればいいのかわからないのだろう。
「難しいなぁ……。じゃあ、天羽さんと一緒でどうかな?」
オウルは「天羽さんと一緒」という部分に大きく反応し、トントンと蛍の肩で飛び跳ねた。
「蛍と一緒ですね! では「翔平さん」と呼びます」
「うん。その方が嬉しいよ」
「嬉しいですか。よかったです!」
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