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蛍と呼び方が一緒ということでテンションが上がったのか、オウルは蛍の左肩から翔平の頭の上に移動し、トントンと飛び跳ねている。
もちろん翔平には見えないし、感覚もないだろう。しかし、その様子がはっきりと見える蛍と慧は、肩を震わせながら笑った。
「え? 何? 何がそんなに面白いの!?」
翔平がキョロキョロしている。蛍は携帯を取り出し、その様子を写真に収める。もしかしたら、写真なら見えるかもしれないと思ったのだが……。
「僕の頭が写ってるだけだよ?」
「やっぱりダメですか」
「ダメみたいだねー。残念!」
慧と蛍の会話で、翔平は気付く。
「え? もしかしてオウル、僕の頭の上にいるの?」
「はい、います。嬉しそうに飛び跳ねてます」
「飛び跳ねてるの? うわー、それ見たいなぁ。くそー、何で見えないんだよ!」
悔しがる翔平を見て、蛍はピンと閃いた。蛍は応接を出て、自分のデスクからノートとペンを持ってくる。
「蛍ちゃん? 何するの?」
「翔平さんにも、オウルの可愛さを知ってもらいたくて!」
首を傾げる慧をよそに、蛍はノートを開き、ペンを動かす。慧と翔平は興味深そうにノートを覗き込み、オウルは蛍の左肩へ飛んでくる。
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