1・どうやら同族はアホでありバカであるようで

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「お前ら、俺の仲間になるか?」  それは完全な打算であり、保身でもある。  自分の手足となる仲間がいるだけでこの先の生活はかなり良くなるだろう。  こいつらが持つ森の情報だってバカにならない。  そういった小狡い考えのもと提案したものだ。  それは否定しない。  ただ、あれだ。なんというか、こいつらを見ていると見捨てられないというか、なんというか。  バカだが、決して悪いやつじゃないと思うんだ。  ……一匹は除いてな。 「ナル!! 仲間!!」 「ナルゾ!」 「ナルジョ!」 「そうか。ならまずはお前らの名前を教えてくれ」  俺がそう言えば、コボルト達は誇らしげに胸を張る。 「俺ハ、ガウ!」 「オイハ、ボウ!」 「私ハ、ヨウ!」  三匹の名前を覚えたのはいいが、皆同じ顔だから見分けがつかないのが現状だ。ま、まぁ顔はおいおい覚えるとして、俺の自己紹介だな。 「自己紹介ありがとな。俺はイチだ。これからよろしく頼むぜ」  それぞれの顔に目を合わせれば、ガウ達は何度も頷く姿が見える。  とりあえず、これで仲間は出来た。  あとは拠点をどうにかしたいものだが……。 「お前ら、どこか体を休める場所とかってあるか?」 「アル。ココカラ少シ離レタ洞窟」 「涼シイ。快適」  ほう、これは良いことを聞いた。  早速その洞窟に向かうか。拠点があれば今よりは身体を休ませられるだろう。 「その洞窟に案内してくれ」 「任セロ」  先頭を歩くガウの灰色の毛を見ながら、俺もその後に続いていった。
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