プロローグ《始まりの日》

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 森の中を探索している最中、様々な出来事があった。  一つは自分と同じような姿の化け物を見たこと。姿は簡単に言うと狼が二足歩行をした姿だ。ファンタジー小説なんかをよく見る俺が思うに、あれはコボルトと言われる魔物の一種なのではないかと思う。  他にもファンタジー要素のようなゴブリン、オークなども見られた。ここが地球ではないことはもう確信したよ。まぁ太陽が二つの時点で思っていたがな。  しかし、現実世界に空想の生き物を見るとは思わなかった。  何と言うか、現実味を感じない。  といっても、自身の目で見たことを否定して現実逃避するほど愚か者ではないがな。  考え事をしながら、途中捕まえた野うさぎを口に運ぶ。  当然ながら、人間ではないこの身体は前の身体とは違っていた。  人にはない鉤爪、素人でも容易く狩りを行える俊敏な足、犬並の嗅覚に人だった頃と比べて何倍にもなった聴力と視力。  意外にもこの身体の性能はハイスペックだ。  まさに不幸中の幸いとは事のことだな。  鋭い牙でうさぎを骨ごと噛み砕き、飲み込む。  さて、腹は一杯になった事だし、最初の目的の水を探さないとな。  巨木が並ぶ森を進んでいると、正面の少し離れた位置から男の声が耳に届く。  慌てて木陰に身を隠し、ソっと覗き見る。  目を凝らすと、そこには人が歩いていた。数は二人、どちらも男だ。  服装は野暮ったいもので、所々薄汚れた布の服にズボン。腰には剣を差しているところを見ると、恐らく山賊かなにかだな。  あの服装から察するに、文明としては俺の暮らしていた日本とはかけ離れているかも知れないが、まだ判断するには材料が足りないか。  頭を爪で擦りながら思考していると、男達はこちらに近づくと急に立ち止まる。  辺りを警戒しているのか、顔を忙しなく動かしている。  なんだ? 何を探している。  まさか……俺?  そう気づいた瞬間、片方の男が叫ぶ。 「そこに何かいるぞ!」
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