5-1

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「あなたのお父さんと、私はまだ付き合ってたの」 同意を示すように俺は頷く。 「あの人が自殺をする様な精神状態なら、私が気がつくはずよ」 根拠のある話ではない事を知った。 だが、女には第六感があると言う。 俺もその第六感を信じてみたい気持ちになった。 「実は、、父さんの遺品の中から、こんなものが見つかったんです。ーーどう思いますか?」 秀二は、一枚の封筒を原口さんに手渡しする。 「ーー何これ?」 それを受けとると、原口は中の便箋を取り出す。 「ーー?」 女は言葉を無くす。 「俺、意味がわからないんですけど。父さんが残してくれたメッセージな気がしてならないんです」 「その可能性、高いと思うわ」 原口も頷く。 「なぜ、そう思いますか?」 「ここに書いてあるこの人たち、四人ーーあなたのお父さんとトラブルを起こした相手ばかりよ?」 「え?そうなん、、ですか?」 「彼らが原因で、私たちは結婚出来ずにいるのよーー」 「どーゆー事ですか?」 秀二は聞いた。 「私たち、結婚しようと言う話まで進んでたのーーもちろん結婚するつもりだったし、貴方とも一緒に暮らすはずだった。ーーでも、、」 原口は口ごもった。 「誰かはわからないけど、あの四人の中の誰かに狙われている、と健吾が行っていた。ーーだから、秀二の事も俺が守ると言って、貴方を引き取ったのよ。ーー私も一緒にいたら、危険な目に遭うかも知れないと、私を気遣って健吾は、結婚するのを、そのトラブルが終わるまで待とうと言ってーー」 原口は涙ぐんでいる。 ーーなるほど。 それで、父が婚姻届を持っていたのか、、。 俺はようやく父の人物像がわかった気がした。 「ーー俺、この四人に会ってみようと思うんです。」 「どうして?」 「父の死の真相が知りたいから」 「ーーくれぐれも気を付けなさいよ」 原口さんはそう言って、僕を真剣な眼差しで見た。母という存在に馴染みがないが、原口という人にはなぜか安心感を覚える俺がいた。 こうして俺は原口という女と別れた。
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