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二人の部屋
男は椅子に座らされ、抵抗できぬよう手足を手錠で縛られていた。腰にも動きを縛るためのベルトが巻かれ、まるで暴れたくる精神病者のような扱いを受けていた。抵抗する気力はないというのに。
外には太陽の光が溢れている。が、この部屋の中は薄暗く、まるで別の世界にいるようだった。ブラインドを開ければ別世界ではなくなるのだろうが、それも叶わない。
がちゃりと扉を開けて、男が入ってきた。男も椅子に座ると、テーブルを挟んだ先にいる、椅子に縛れている男と相対した。
今、この薄暗い部屋にいるのは、捜査一課の刑事と妻を殺した男である。お互い、沈黙していた。
やがて妻を殺した男がおもむろに口を開く。
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