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「あーあ。虎彦、さいてー」 鍵をかけたはずのドアがいとも簡単に開いて、双子の妹の顔が覗いた。 「うっせぇ。勝手に鍵開けてんじゃねぇよ」 「ふふん」 せせら笑いながら、ベッドの上で眠りこけている兄貴の顔をつついて遊んでいる。 「やめろ。起きるだろ」 このまま少し寝かせてやりたいんだから。 「あんたさ、お兄ちゃんにはほんと優しいよね!」 「黙れ、うっとしいぞ」 「まぁ、あたしも大概だけどね!ほら」 手を伸ばして俺の髪に触れる。 我ながらあまり似合わない。でも仕方ないだろう。俺は『おそろい』になりたかったんだから。 兄貴のサラサラな髪を撫でた。 今の俺たちと同じ、白に近い金色。 兄貴のは生まれつき。目の色も灰色混じりの青で綺麗だ。 色素がとても薄いとかだっけな。肌も道行く人々が振り返るほど白い。この姿形から今も色々と言われたりしているのは知っている。 「苦労してんのはあたし達家族が一番よく分かっているもんねぇ」 兎美がしみじみと言った風に呟いた。 「しかしあんたも馬鹿ね。お兄ちゃんとおそろいって子供みたい」 「てめぇもだろ」 「あたし?あたしはちょっと付き合ってあげただけ。二人だけおそろいなんて嫉妬しちゃう」 冗談めかしているが、まぁこいつも大概だな。 二人で兄貴の寝顔を眺める。 「さっさと、告白なり押し倒すなりすればぁ?意気地無しぃ」 「無茶言うなよ。実の弟に恋愛対象にされて平気な奴はいないだろ」 「だったらせいぜい頑張って意識させるか、同情でも誘うか、いっそ無理矢理………」 何考えてるんだ。この馬鹿。 俺は兎美の頭を小突いて部屋から追い出した。 再び二人きりになって、未だガキのような顔をして寝ている兄貴の傍に腰をかけた。 「ごめん」 馬鹿な弟で。という言葉を飲み込んで、唇にそっと口付けをした。
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