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その後、神代さんのはからいで、僕は美鈴の病院に面会に通うことができた。
面会の時間は、美鈴と僕にとって、とても楽しい時間になっていた。
まるで、大学時代にお付き合いしていた時のように、2人は恋人同士のような関係になっていた。
しかし美鈴の病状は、素人の僕が見ても悪化しているようで、日増しに衰弱していった。
そんなある日の夜中、老人ホームにいた僕に緊急の電話が入った。
美鈴の状態が良くないようで、神代さんから一緒に病院に行ってほしいというお願いの電話だった。
急遽、老人ホームに外出を許可してもらって、神代さんの車で病院に向かった。
病院に到着して美鈴の病室に入ると、美鈴はぐったりしていて神代さんが呼び掛けても反応がなかった。
僕はベットの横で美鈴の手を握って美鈴の名前を呼ぶと、美鈴が僕の手を握り返してきたことに気が付いた。
少しすると美鈴が僕のほうを見て少しだけ目を開けて頷いてくれたように感じた。
そして美鈴が目を閉じたと思った瞬間、無情にも美鈴に取り付けられた心電図モニターのアラーム音が、
「ピー」
と鳴り始めた。
僕は、目から涙が溢れて止まらなかった。
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