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神代さんの話は続いた。
「曾祖母の話というのは、来栖さんは大学生の頃に曾祖母とお付き合いされていたと思います。
その時、曾祖母との間に子供ができたと思います。
違いますか?」
僕は、その頃のことを思い出しながら正直に話をした。
「確かに美怜との間に子供ができてしまいました。
その頃の僕は学生で子供を産んで育てるだけの経済力がなかったので、2人で話し合って子供はおろすことにしました。
そのことがきっかけで、僕たち2人の関係はぎくしゃくしてしまい、美怜とはお別れしてしまいました。」
神代さんは頷きながら、さらに話を続けた。
「実はその時にできた子供ですが、曾祖母はおろさずに産んで1人で育てたのです。」
僕は予想外の話で大きなショックを受けた。
「大丈夫ですか?」
急に黙り込んでしまった僕を心配して、神代さんが声をかけてくれた。
「曾祖母は、来栖さんと出会って子どもを産んだことを後悔していないと話していました。
私にとって来栖さんは、曾祖父ということになりますね!」
神代さんの言葉で、僕は神代さんの顔をまじまじと見つめてしまった。
「そうだったんですか?
僕は何てことをしてしまったんでしょう!」
僕は、美怜に対して申し訳ないという思いでいっぱいになった。
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