金色の絵の具

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ひいちゃんはお絵描きが大好き。 みんなと楽しく描いた絵に、今日は色を塗ります。 描いたのは大好きな公園。柔らかな日差しと太陽。たんぽぽがあちこち咲いていて、木の間もキラキラ光っています。ひいちゃんはこの光を描きたいのでありました。 「黄色の絵の具に白を入れよう」 明るいレモン色ができました。チーズケーキに似てる色。でもお日様の色にはなりません。 「もっとキラキラしていたわ。ちょっぴり黒を置いてみよう」 キラキラは暗いと明るいの交互の信号です。でも、キラキラはできません。ひいちゃんはあの時の光を思い出してみました。 「そうだ、あれは金色だわ。金色リボンと同じ色」 お母さんが結んでくれた金色リボンを紐解いて、ひいちゃんはリボンを眺めました。 「金色リボン。あなたが絵の具になったらいいのに」 ひいちゃんはリボンをさすり、くるくると巻いていきます。あともう少しで巻き終わる。その時に、ひいちゃんはリボンを落としてしまいました。リボンはくるくる金色のシッポを伸ばして、部屋の向こうまで行ってしまいました。 「いやあねえ。やだやだ。私ったら」 ひいちゃんは根気よく巻き直します。すると、途中でリボンがピンと張って動かなくなりました。向こうで引っかかっているようです。ひいちゃんは巻きながら行ってみました。
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