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朝永さんは果てた後、 「風呂」 と、平然と言って部屋を出ていった。 ベッドの上で横たわったまま私は動くことも出来なくてそのまま呆然としていたら、朝永さんが戻ってくる気配がしたので狸寝入りをすることにした。 朝永さんはベッドに入るとすぐに寝息を立てた。 確認した私はベッドから起き上がる。 彼は私に背を向けていた。 私はベッドから下りて廊下に出た。 扉を開けると前には二つの扉。 開けると左はトイレで右がお風呂。 お風呂に入りたかったが、勝手に使って怒らせることはしたくなかったので我慢した。 そのお風呂の横には曇硝子の扉があり、開けると十畳程のカウンターキッチンのついたリビングとダイニング。 カウンターキッチンの横には二人掛けのダイニングテーブル、ベランダ手前には二人掛けのソファー、その目の前にはテレビが置かれている。 無駄なものなんて一つもない、シンプルな部屋。 「あれ……」 そんな部屋を眺めていたら、私の頬がいつの間にか濡れていたことに気付いた。
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