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第1章 パパ活
男は小さな寝息をたてながらベットで横になっている。
私はソファに座りそれを眺めている。
四十代半ば。職業は知らない。
でも大きなお金を動かす仕事。
不動産だとか為替だとか、頻繁にかかってくる電話がそれを物語っている。
土地の相場だとか地政学リスクだとか、私みたいな小娘を煙に巻くような難しい単語を並べて、まくしたてるように指示をする。
電話を切ると優しい顔になる。
さっきまでは仮の姿で本当の自分が今なのだと言わんばかりに。
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