天気予報は嫌いだ

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つうか、そういえばなんでこいつ当たり前にタメ口なんだ?俺一応、講師なんだけど。 授業の時以外で初めて会話をした朝日 史という女は、 想像してたよりも表情豊かで、ちょっと失礼で、やっぱりよくわからない奴だった。 「……なんの罰ゲーム?」 「罰ゲームなんかじゃないってば」 朝日は、子猫に視線を落としたまま続けた。 「確かに影山は、頭モサッとしてるし、分厚いメガネだし、無愛想だし……」 「うっせー!天パでド近眼でなんだよ」 ムッとして言い返すと、 朝日は振り返って「ごめんって、冗談だよ!」と口角を上げた半笑いの顔の前に片手を立てる。 まぁ、実際その通りなんだけどさぁ。 生徒にまで無愛想と言われるとは、俺も終わってるな…… 「だけど、優しくて気が利くじゃん。 こうやって、飲むはずだったコーヒーをくれたり、わざわざタオル持ってきてくれたり。 私、影山ってもっと冷淡無情な人かと思ってたから」 「冷淡無情って……酷い言われようだな」 誉められてるんだか、貶されてるんだか…… 「だから!勘違いだったってこと。 意外とカッコいいとこあるんだって見直しちゃった。」 うぐ、と言葉に詰まる。 そんな風にストレートに言われたことは今まで無かったから、反応に困ってしまった。
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