恋愛的確率論

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唖然として固まる俺を余所に、朝日がおもむろに俺の顔に手を伸ばした。 眼鏡にかかるほどに伸びっぱなしの前髪を、細い人差し指でスッと避けられて、クリアになった俺の視界に朝日の大きな瞳が飛び込んでくる。 常夜灯に照らされたその目は、吸い込まれそうなほど澄んでいて、 俺は瞬きを忘れて見つめ返してしまった。 「隠したら、勿体ないのに」 朝日が、俺のメタルフレームの眼鏡にそっと手を掛けて…… 「バッ……、やめろって!」 そこでハッと我に返って、咄嗟に手を振り払った。 朝日は、俺に弾かれた手首を左右に振って、 「残念」なんて笑ってる。 「大人をからかうんじゃねぇ」 「からかってるように見える?」 「むしろ、からかってるようにしか見えない」 おかしいなぁ……と視線を宙に浮かべて呟く朝日が、そろそろマジで宇宙人に見えてきそうだ。
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