天気予報は嫌いだ

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「おい」 俺が歩み寄って声を掛けると、朝日は驚いたように身体を跳ねさせた。 「あ、影山……」 朝日は恐る恐るといった感じで振り返り、俺の顔を見て強張っていた表情をふっと緩めた。 まさか、変質者かなんかと勘違いされたんじゃねーか、これ…… しかも今ナチュラルに呼び捨てにされたし。 「何やってんの、こんな時間にこんなとこで。つーか、それ俺の傘なんだけど」 「あ……そうなの?ごめん。取り急ぎその辺の傘を拝借したんだ」 拝借すんなよ、勝手に…… それに、傘はなぜか開いた状態で逆さまに地面に置かれていて。 「なんで逆に広げて……」 嫌がらせ以外の何ものでもないんだけど、と後ろから覗き込むと、 「猫ちゃん」 そこには、逆さまに広げた傘をシート代わりに、びしょびしょに濡れた子猫が気休め程度の小さなハンドタオルを掛けられてふるふると震えていた。 「うお、猫……!」 俺はバッと身体を起こして後退りした。 「影山、猫苦手?」 「猫っていうか……動物全般だめ」 「何で?」 「だって予想外の行動してくるだろ、こいつら」 昔から犬や猫は苦手だった。 飛びかかる、擦り寄る、舐める、噛む…… 俺からしたら、いくら小さくても未知の生物と一緒だ。
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