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恋愛的確率論
「何でもかんでも答えが決まってるなんて、つまんなくない?
どう転ぶかわからないのが人生なんじゃないの?」
朝日は、数秒間う~ん……と唸って、それからそう言った。
その言葉が、ストンと俺の胸の奥を突く。
「……そう、かもしれないけど。
俺は、転ばない人生がいいんだよ」
「えぇ~?」
朝日は納得いかないといった表情で眉根を寄せた。
ほらやっぱり、お前だって俺のこと面白くない奴だと思ったろ。
……わかってるんだ、自分でも。
すると朝日が、手のひらの中で転がしていた缶コーヒーを両手で持ち直して、きゅっと握った。
「……じゃあさ、もし私が影山のこと好きだと言ったら、断る確率は100%?」
「……は?」
なんの前触れも脈略もない質問に、
俺が余程怪訝な顔をしてたんだろう。
朝日は「なに、その顔!」とおどけたように笑った。
「……いきなり何の話?」
「恋愛的確率論の話……かな?」
「はぁ?意味わからない」
「ねぇ、どうなの」
朝日が?俺を?その例えがまず意味不明だし、そんなもの答えはもちろん……
「100%に決まってるだろ」
俺がきっぱりとそう言うと、
朝日は「あは、振られた」と肩を竦めた。
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