わたしについて

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わたしについて

では次に、事件の当時者であるわたしについて、 上層部に許される範囲で述べる。 わたしは、読者諸氏のイメージに近いところでいうと VRやARゲームの中の存在。といえば想像しやすいだろうか。 上層部によって作られたアバターのようなものだ。 与えられた仕事によって、形や年齢などは自由に設定される。 よって、性別も名前も年齢もない。 1968年に府中市で奪われた現金三億円が使われた形跡がないことは これで納得していただけるだろうか? わたしはお金を必要としない。食事も必要ではない。 上層部が設定した時間に、設定した容姿年齢、体力、職業で任務を遂行する。 現金手渡しの時代を終結するという任務を終えた以上、 もはや三億円は不必要。 それどころか邪魔だったのだ。 任務が終了すれば、諸氏がゲームの電源を切るように わたしも画面から消える。 しかし、電源を入れるとまた現れるのだ。 では、今、これを書いているわたしの任務は? 上層部の目的は? それは、この文章を読んだ一部の方に伝わるようになっている。 情報を受け取った方は、わたしの意を汲んで、そのように行動して欲しい。 引継ぎ書の場所は、地球の歳差運動の数字を参考に。 では、本日の任務を終了する。 ログオフ。
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