足りなくなる3

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足りなくなる3

ーーあの顔は誰か他人のパーツを奪って繋ぎ合わせているんだ! だとすれば僕がここにいる理由は…… 次の瞬間、大きな衝撃とともに視界が大きくブレる。なんとか目線を上げれば男が足を上げているのが見え、頭を思い切り蹴られたのだと分かった。 「……そんなに暴れないでくれよ。大丈夫、壊したりしないさ。お前のパーツを一つ貰うだけだ」 男は先程までとは一変して、まるで感情の抜け落ちたような表情で僕の傍らに座り込む。 男の手には何処から出したのか、鈍く光る刃物が握られていた。 その切っ先は、ゆっくりと僕の口元に向けられる。 「お前、絶対味覚ってのを待ってるんだってな? 最高だよ。お前が笑った時に覗いたその濃い桃色が、俺にどれほど艶めかしく見えたか言葉では表せない」 そう言うと男はゆっくり立ち上がり、何度も僕の頭を勢いよく蹴りつけた。何度も。何度も。何度も。何度も。 「安心しろよ。欠けた分はちゃんと後で足しといてやる。お前という100は壊したりしないさ」 朦朧とし始めた意識の中で、最後に聞き取れたのは男の弾むような声だった。 もしもう一度目覚めることがあったとしてその時、僕はただの100に成り下がってしまっているのだろう。 完璧な僕から、完全なだけの僕へ。 何故なら完璧であった僕から引かれた一つは、変わりなど見つけられない一つだったのだから。 「ニュースをお伝えします」 「昨夜、〇〇在住無職の30代男性の自宅から多数の遺体が発見されました。どの遺体も身体の一部だけが、容疑者のものと見られる同部分と繋ぎ合わせられた状態だったという事です」 「容疑者は、俺は何も壊していないので何も悪くない。などと供述しており……」
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