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 私の後ろでマイクを向けられている男性は、誇らしげに話していたなあと、そんなことを思いながら見切り品だったという理由で購入した期間限定のカップ麺を口に運ぶ。  売れ残っていたそれは、やはり安くても買うんではなかったと後悔する味であった。  あとひとり分後であったなら、私が100万人目という記念すべき人になれていたのにと、そんな今更どうにもならないことばかりを考えてしまう  その瞬間に出くわしたときだって思わなかったし、なんならさっきまで忘れてさえいたというのに。  夕方のニュースで華々しく放送されるそれを観てしまうと、そこに自分がいる画を浮かべてしまうのだ。
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