NY

2/2
前へ
/8ページ
次へ
「イオン、また来ないかなぁ。そろそろ連れてきてよー。」 「うるせぇな、なんでそこまで執着すんだよ?」 「日本人いると女の子達が喜ぶんだよねー。」 「…お前、まだやってんのか。」 さすが、40には見えない顔はこえーな。 いったい何人が騙されてんだか、ごしゅーしょーさまなこった。 「ライブハウスには来てないから安心してー。」 「当たり前だろ、そもそもそいつらみたいなミーハーが来れるライブじゃねぇよ。」 ベンは軟派な奴ではあるが、音楽にはストイックだ。俺の周辺ではだいぶ珍しいタイプだが、意外と気が合う。 ベンが所属するバンドメンバーも集まってきて、慌ただしく出番の準備が始まる。 「-シショー、そろそろ行くかい?」 「おー。」 舞台に登壇すれば、観客からの熱気と歓声が押し寄せる。口角が上がるのが止められない、止める気もなかったが。 トランペットを持つ手を高々と掲げる。 「そんじゃ、今日も派手にいこうじゃねえか。」 -約3年ぶりに復活したベン&シショーの伝説コンビは、「復活初回ライブにして最高のライブ」とジャズファンの中で讃えられた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加