旅の途中

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帯人は木の上から丁重に下ろしてもらい、安全な場所に運ばれた。 最初は驚き意識があったが安心したのか深い眠りに落ちた。 しばらくして目が覚めたが、漂流した後のように具合いが悪い。 身体が固まったように全く動かず困った。 この国の人達も見ず知らずの自分を、親切に大切に世話してくれる。 有り難くて涙が出る。 元々は若く元気な男の子だから、しばらくすると帯人は起き上がることができるようになった。 その国の王様は、天から神様が落ちてきて生きてるという人々の噂を聞きつけ王宮から迎えを出した。 神様と言われている男の子は、礼儀正しくうやうやしく王に礼を尽くしたので、王様は大満足だった。 国の民が神と崇める人が自分に礼を尽くす。 素晴らしい。 王様は帯人を側に置いて丁重に扱うことに決めた。 帯人は朝早く目覚めるとすぐに歯の手入れをして口をすすぐと、西の方を向いて祈りを捧げる。 その先に王様は立ち、神さまが自分に祈りを捧げるのを民に見せる。空から落ちて来た神さまが自分たちの王様に祈りを捧げるのを見て、民は王様に更に忠誠を誓う。
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