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旅の途中
今から1000年以上前のお話。
遣唐使として、唐へ行く主人のお供の途中に船が難破して帯人は漂流した。
丸太につかまり浮いていたのは覚えている。
主人の令様には大きな板を見つけて、それに乗ってもらった。
( 暑い、痛い。
砂浜の上に倒れているということは、生きてるのか。)
帯人は、頭がクラクラした。
喉が乾いて吐きけがする。
身体中のあちこちが痛いし、何か結び付けてあるかと思うくらい重い。
( 私は、ここで死ぬのだろうか?)
船が難破した場合、運よくもし生きてどこかへ流れついたとしても、身包みはがされてその場で殺されると寺の和尚様に教えてもらった。
( 海の彼方に極楽浄土があるとずっと教えてもらったけど、ここなのか?
いや、違う。こんなに痛くて苦しいのだから。)
あちこち身体をぶつけて、信じられないくらいの衝撃を受けたからか意識が朦朧とする。
誰かが近付いて来たような気がして目を開けると大勢の人達に取り囲まれた。
皆、自分より肌が浅黒くて話かけてくれているのはわかるけど言葉がわからない。
でも、すぐこの場で殺されることはないようだ。
目の前に見たことが無い艶やかな色合いの鳥が飛んでいる。黄色、赤、緑色に彩られた鮮やかな鳥だ。
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