言い訳

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言い訳

勇次は今のコタツで寝そべりながら漫画を読んでいる。 母が言う 「あんた、いつまでもウチの中でごろごろしていないで外に出て散歩でもしてきたら。」 勇次は答えた 「外は雨が降っている。」 勇次は言った 「なに言ってんの。もう雨は止んだよ。」 勇次はコタツのなかで寝そべったまま、母に聞き返した 「もう止んだの?」 母は答えた 「もう完全にあがったよ。少し、日差しも見えてるよ。」 勇次は 「でも、まだちょっとやる事があるから、ダメだよ。」 母は皮肉っぽく勇次に聞いた。 「ずっとコタツの中でマンがを読んでて、やることって、漫画を読むことなの?」 勇次はぼくとつとして言った 「違う、宿題もしないとダメだし。」 母は言い返した。 「いつになったら宿題するの?いままで、今の時間に宿題なんかしたことあったの?」 勇次は、ふて腐れた様子で言った 「今日はやろうと思っていたんだ。」 母はあきれた様に言った。 「ほんとに、外に出たくないもんだから言い訳ばっかりして。」 勇次は眉を吊り上げて言った。 「ほんとに、そうなんだよ。ちょっと、足も痛いし」 母は言った。 「いつから足が痛いの?それでも、外はそうかもしれないけど宿題は足とは関係ないじゃない。 痛かったら病院に行っといでよ。」 勇次は奥歯を強く噛んで言った。 「うるせー!てめえが俺にいいわけを言わせてるんだろうが!遠まわしな言い方せずにはっきりいいやがれ! 自分の手を汚さず、自分の思い通りに俺をコントロールしようとしやがって、ふざけんな!」 母は激しい口調で言った 「だったらなんて言えばいいの?あんたのことを心配して言ったんだよ。」 勇次は言った。 「何が、心配だ!本当に心配してるんだったら、何で宿題と足とは関係ないなんて言うんだ! もっと別の言い方があるだろ! 勉強して欲しいなら勉強して欲しいってはっきり言え!俺の事が心配じゃなくって、俺が勉強しないことでてめえの世間的な見栄が崩れるのが心配なだけだろうが!」 母は 「何言ってんの?」 と言ったまま、数日間 勇次を避けるように口をきかなくなってしまった。 勇次はそれ以来、居間の今のこたつで寝そべることはなくなり、自分の部屋にこもる様になった。 しかし、勇次は次の日から毎日外に出て散歩をするようになった。 ある日の朝、いつものように散歩をする勇次。朝日のまぶしさに勇次は目を細めた。
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