プロローグ

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 ジャパンCAオーサカ地区でコウガや友人のニック、子供や老人達と過ごす中で、闘争に明け暮れるレプティリアンとは対照的な人間達の穏やかな暮らしこそが本来あるべきものと悟るリリカ。そしてコウガへの想いと自分の任務との葛藤に苦しみ、コウガに自分がレプティリアンである事を告白する。しかし任務に背いた事でリリカは追われる身となり、コウガは総本部のあるブリュッセルへ強制転送されてしまう。    コウガを救うべく決死の覚悟で単身ブリュッセルへ乗り込むリリカ。友人デビーの協力を得て幾重にも渡る追撃の果て、コウガらMC達を救出する。そこで初めてコウガはリリカが幼い頃に生き別れたエマだという事、自分が月で育った能力者MCである事を思い出す。MC達は記憶を消され地球に放たれた孤児だったのだ。そしていよいよリリカはMC達とビーストの破壊へ挑む。遂行不可能とも思える障壁を乗り越え、そして多くの仲間の犠牲の上にこれを成し遂げたリリカとコウガ。しかしそれは最後にリリカ自らが犠牲になって完遂したものだった。リリカの体内にはビーストの動力エネルギーに触れることで大爆発を誘発出来る起爆剤が埋め込まれていたのだ。自分の本当の使命を全うするため、タチバナ博士の最後の切り札を使ったのだった。  半年後、傷心に暮れるコウガの元へ1台のトラックがやって来る。中から降り立ったのはなんとリリカだった。奇跡の再会を果たした二人。リリカの話によると誰も会った事の無い高能力のMC、イサムに助けられたという。イサムとの交信を試みた二人は彼に今後の協力を依頼される。  このリリカの一連の動きと、タチバナ博士の仕事の傍らでずっと関わっていた男がいた。ロブ・シュタインというリリカのSS時代の担当通信士だ。ロブはタチバナ博士のチームに所属していながらも政府直属の諜報員だった。ビースト開発者としての名誉をタチバナ博士に奪われたロブは、リリカによるビーストの破壊を影で企てていた張本人だった。それは自らが設計している新型ビーストに切り替える準備があるからに他ならなかった。  暗雲を漂わせたまま新たな物語が幕を開ける。
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