プロローグ

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プロローグ

 今から100年ほど先の話。  人類は「新世界秩序:New World Order」という抜本的な社会システムの改革を経て、これまで先人が築いて来た価値観、思想、習慣、ルールを超えた世界での生活をしていた。しかしそこに至るまで穏やかに変革を遂げるなど当然不可能なことであった。数多くの戦争と紛争、災害、疫病蔓延などで人口激減と言う多くの犠牲の上に成り立ったものであった。  それは「大掃討作戦」と呼ばれた人類の掃除である。主に行われたのが気象兵器による天災である。地震、津波、ハリケーンなどにより、人も土地も更地に出来る。そして抵抗する国々に対しては適当な大義名分を付け、世界政府の名のもと連合軍隊を投入し政権を転覆させる。また疫病を装った細菌兵器と電磁波兵器、予防接種を装った毒液の注入、化学添加物と遺伝子組み換え食品よる人口削減も常態化して実施された。その結果、70億人いた世界の人口は現在10億人程にまで激減し、700万人ほどの支配層と9億数千人の一般層と貧民層という極端な人口分布となっている。  空白になった国々は工業エリアと農水産業エリアに分けられ、生き残った人々はそれらの仕事に従事させられた。主に自然環境に恵まれない途上国地域は工業エリアに、水と緑が豊富な地域は農水産業エリアとした。世界政府の中心部は総司令本部と呼ばれ、かつてのベルギーの首都ブリュッセルに置かれている。各国家は解体され世界政府の管理区域(CA:controlled area)と呼ばれた。例えばかつてメキシコと呼ばれた国は「メキシコCA」と言った具合に、新たな名前を付けること無く、人々が認識しやすくする事も意識した呼称とされた。
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