11人が本棚に入れています
本棚に追加
「こいつらが邪魔してるんだ。ならさっさと話をつける」
男達はじっと夏音を見下ろすと、息を吐く。そして思いを口にした。
「俺達はお前に白軍を追い出された隊士だ。王に不満を持っているという些細な理由でな」
「そういえばそんなこともあったか」
「不満なんて給料が安いとか、ちょっとした愚痴だった。誰でも働いてりゃ愚痴くらい出る。それなのにあんたは突然クビにしろと言ったんだ」
もう一人の男は悔しそうに、訴える。
「白軍を追い出されたせいで、俺は女房に出て行かれた。次の仕事が見つからないからだ」
「俺もだ。次の仕事が見つからない。あんたが追い出さなければ、今も変わらない生活を送れていたんだ」
「それで?私にどうしろと?」
男二人は顔を見合わさると、夏音の方を見た。
「俺達を白軍に戻してくれ」
「何だと?」
「俺達はそりゃ愚痴はあったけど、あの仕事に誇りを持っていた。また戻りてぇんだよ。頼む。王様に頼んでくれよ」
最初のコメントを投稿しよう!