黒幕

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「こいつらが邪魔してるんだ。ならさっさと話をつける」  男達はじっと夏音を見下ろすと、息を吐く。そして思いを口にした。 「俺達はお前に白軍を追い出された隊士だ。王に不満を持っているという些細な理由でな」 「そういえばそんなこともあったか」 「不満なんて給料が安いとか、ちょっとした愚痴だった。誰でも働いてりゃ愚痴くらい出る。それなのにあんたは突然クビにしろと言ったんだ」  もう一人の男は悔しそうに、訴える。 「白軍を追い出されたせいで、俺は女房に出て行かれた。次の仕事が見つからないからだ」 「俺もだ。次の仕事が見つからない。あんたが追い出さなければ、今も変わらない生活を送れていたんだ」 「それで?私にどうしろと?」  男二人は顔を見合わさると、夏音の方を見た。 「俺達を白軍に戻してくれ」 「何だと?」 「俺達はそりゃ愚痴はあったけど、あの仕事に誇りを持っていた。また戻りてぇんだよ。頼む。王様に頼んでくれよ」
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