百夜通い

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九十七日目。 窓を挟んで彼と向かい合う。 今日の彼はもう、泣いてはいなかった。 「君は僕のことを恨んでいるか?」 なんて馬鹿なことを聞くのだろうと思う。賢い人だから、そんなわけないとわかってるはずなのに。それでもわざわざ確認をしたがるのだ。 「僕は、君を薄情者だと責めたことがあったな。君は何も悪くなかったのに、寂しさの埋め方を知らない僕は、何度も君を責めた」 彼の言葉に感情はなく、ただ事実を語っているというような口調だ。 「だから帰ってきたんだろう?」 そんなわけないでしょう。 窓を開けてくれたら、そうやって否定してあげるのに。
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