百夜通い

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九十八日目。 体が上手くいうことをきかない。 腕を上げることができなくなって、私は近くの壁を額で叩いた。 「そんな様になってまで、ここへ来てなにがしたいんだよ」 額の音は彼に聞こえただろうか。 「…お節介め。余計なお世話なんだよ。君が居なくたって僕は、一人でやれるんだ」 彼は窓の側に立ってくれているだろうか。 「なあ、どうしたら君は満足するんだよ」 世界が静まり返っていて不安になる。 …今日は、なにも話してくれないのね。
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