第1話 終電後の電車は、開かず扉

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第1話 終電後の電車は、開かず扉

 それは、都市伝説なのかもしれない。  だが、オレは確かに見たのだ。  ブラック企業に勤めるがゆえに、終電を寸前で逃したオレは、諦めてタクシーにするか、ビジネスホテルに泊まるかの二択に迫られていた。 「ちっ、また金が飛んでいくわ」  だが、次の瞬間。  ガタンゴトン、キー  聞き慣れた電車が発する音とともに、見慣れたシルバーの車両が停まった。 「んだよ、あるじゃねぇか。時刻表、間違ってんのか」  オレはいつもの場所で、電車の扉が開くのを待った。 「ん? なんで開かねぇんだ?」  ドンドン、ドンドン  扉を叩く。が、開かない。 「んーだよ、回送かよ。紛らわしいな」  オレは諦めて、安めのビジネスホテルに泊まることにした。  ドンドン、ドンドン 「オレと同じようなヤツがいるんだな」  と思って、振り返ってみると、そこには!  
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