14人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
ああ、これは地獄へ逝く最終列車
薄れゆく意識の中で、オレは彼女の目を見た。
真っ赤だった。
それは、人間の目ではなかった。
明らかに化け物、血に飢えたそれは、まるで吸血鬼か、ゾンビのようだった。
鼻孔を、吐き気を催すほどの悪臭が通り抜けた。
だが、それを突き放そうと力を入れようと思った。
だが。
(オ、オレの手足が、ないっ!)
彼女だけではなかった。無数のゾンビのような、吸血鬼のような不気味な人型の化け物が、オレの体に無数に群がっていた。
そして間もなく、オレは元彼女に首根っこを噛み付かれたまま、あるはずのない終電後の電車に乗せられた。
プシュー
ガタンゴトン
次第に薄れゆく意識の中で、オレは「地獄」という光景が、今自分の体の中に広がっていることを、感じた。
最初のコメントを投稿しよう!