百年の絆

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「いててて……」  どうやら、横転したバイクに投げ出されたようだ。道路脇の草むらで体を起こした賢斗は、辺りを見回した。バイクは、数メートル先に倒れていた。    賢斗はどこか怪我をしていないかとざっと自分の体を確かめた。ほとんど無傷であったが、頭にたんこぶができていた。バイクでこけた時にできたのか、はたまたデッドボールの時にできたのか。そもそも、本当にタイムスリップをしていたのだろうか。疑念が湧いたが、賢斗の服装が証明していた。身につけているのは野球のユニフォーム。 「ははっ、夢じゃなかった……」  賢斗はよろよろと立ち上がりバイクに近づくと、ヨイショ、と起こした。衝撃で傷がついてしまったものの、走る分には問題なさそうだ。  積んでいたリュックサックから、スマートフォン……ではなく、紙のロードマップを取り出した。今日はなんだか、アナログなものを使いたい気分だ。 「とりあえず、じいちゃん家に帰ろう」  賢斗は、バイクに跨がった。  特に決めていなかった明日からの行き先が決まった。  行ってみよう。あの野球場があった場所に、あのアパートがあった場所に。バイクに乗らず、自分の足で。  ――弥彦、俺はこっちで走るぞ。お前みたいに。   賢斗は、胸の内でそうつぶやいた。    
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