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以降は一進一退の攻防が続く。
西洋人とスポーツで争ったって仕方ない、と言いつつも、弥彦はその足の速さでしっかりチームの得点に貢献していた。
六回裏。Bチームは一点リード。
賢斗は、野球はやったことはないもののキャッチボールくらいはしたことがあるらしい。そして、走ってみれば弥彦に負けず劣らず速く走れた。おかげで賢斗は外野手として、相手チームをアウトに追いやることにはかなり貢献した。一方で、バッターボックスに入ればからきしダメであった。
それでも順番は巡ってくる。
バットを構える。
ボールが飛んでくる。
バットを振る。いや、遅い。
飛んできたボールは、鈍い音を立てて賢斗の頭を直撃した。
デッドボール。
アウトは免れたが、賢斗は脳震盪を起こし、ヨロヨロと歩いたかと思うとバタリと倒れた。
「賢斗!大丈夫か!」
弥彦の声が遠くに聞こえる。
賢斗は薄れゆく意識の中で、夢を見た。
夢ではない。
記憶だ。
思い出した。
賢斗は、百年後の、西暦二〇一三年からタイムスリップしてきたのだ。
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