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「ほんと、涼しいわ」
女は全く涼しげであった。秀一はその清涼感のある嬌態に思わず見入ってしまい恍惚となっていると、ウェイトレスがやって来て、「ご注文は?」と聞いて来たので、はっとして慌ててメニュー表を取り上げ、適当に開いてみて何も見ない内に、あっ、そうだ、こういう場合はアイスコーヒーだなと思って、「アイスコーヒー」と如何にも慣れない調子で注文した。続いて女は澄ました体で、「アイス」と略して注文した。
「畏まりました。直ぐにお持ち致します」と言ってウェイトレスが会釈をして去った後、秀一はまずは落ち着こうとおしぼりで手を拭いて氷入りの水を飲んだ。女も同じ様にしたが、相変わらず澄ましていて最初の気さくな感じではなくなっていた。
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