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凪川零は、妙な感覚を覚えながら目覚めた。
時計を見ると午前4時。
普段より1時間は早い起床とソレを引き起こした違和感に多少の苛立ちを覚えながら、玄関に降りて外の郵便受けを確認しに向かう。
1時間は誤差とも言えるのか、既に朝刊は入っておりソレを手にリビングへと歩を進める。
「……」
テーブルに新聞を置き、日課とも言える朝のティータイムの準備を始める。
朝起きた時の気分的には珈琲が飲みたかったが、生憎“あの喫茶店”の味を知って以来は自分で淹れるのは茶にしている。
戸棚にあったスコーンと湯気と共に仄かな香りを運んでくるダージリンで頭を起こしつつ、新聞を広げた。
「…もう少し明るい話を一面にしてほしいですね」
載っていたのはどこぞの政治家が逮捕された事件の顛末。どうやら墨をぶちまけたような有罪だったはずが、“黒を白にする”で有名な弁護士の手で無罪になったらしい。
触りだけ読むと次の項目に視線を映す。
「…?」
目が止まったのは、失踪事件の記事だった。
神隠しに遭ったかのように人が忽然と消えたらしい。
規則性などは見受けられないというのが警察の見解だが、地域はこの近辺だという。
「…組織の仕業でしょうか?」
まるで某黒い英雄のお決まりの台詞のような“●●の仕業”と組織を決め打ちするあたり、組織絡みの事案に毒されすぎているように思える。
が、見過ごせないと感じたが故に朝早くながら最近 友人に教わったアプリを使って“何時もの面子”に声をかけるのだった。
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