第9話 想いの視線

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 すらりと口をついて出た言葉に、自分でも驚く。  それが姉の死からの年数を感じさせる。 「まあ…。移植の後、何の連絡もしなくて申し訳なかったね。  セレモニーにも呼べなかったし…その…僕もショックが大きくて、なかなか社会復帰できずで」  姉の配偶者だった寺西さんとは、姉の死亡した日に会っただけで会話もたいして交わしていなかった。  そんな俺に、今更何の用だろう…。  モバイルを肩と頬で挟み込み、朝食の用意をしながら次の言葉を待った。
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