第9話 想いの視線

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 次の日から、俺は人気のない通路をさ迷った。  誰にも会わず、何も起きない日が続いた。  とりあえず正規の目的である昆虫の侵入がないことを確認し、主任に報告する。  隅々まで見回ったが何も見つけることはなく、ここで諦めてもよかった。  だが…自然と足が向いてしまう。  何を見つけようとしているのかもわからないのに、何かを求めてさ迷い歩いた。  ポケットにはあの日見つけたクモを入れたままで。
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