第9話 想いの視線

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 あきらかな身体接触状態に、何も言えず上の階へと階段を上っていった。  何階か上った後で、ドアを閉めて戻ればよかったことに気付く。 「ち、ちょっと、蒲生君ってば」  息を切らしながら、加藤唯の声が下から聞こえてきた。  慌てて階段から廊下に出るドアに取り付いた。  が、あと一歩遅く、彼女が俺を引き留めるために先にドアノブを握ったのだった。 「…ちょっ……待って…」  ある程度息が落ち着いた彼女は、鋭い視線で言った。
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