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「辰巳さん!」
もつれそうになる脚を懸命に動かして思いっきり辰巳さんの胸の中に飛び込んだ。
「わっ、相変わらず元気そうだね、杏子ちゃんは」
「元気です! 逢いたかった……すごく逢いたかったです!」
「俺も」
背が高い辰巳さんの胸の辺りに顔を埋めながらコシコシとすり寄った。
それに応えてくれるように辰巳さんは私を力いっぱいギュッと抱きしめてくれた。
この瞬間が私にとっては堪らない時間。
だけどその至福の時間は辰巳さんの次の言葉であっけなく終わりを告げる。
「杏子ちゃん、折角逢えたんだけど此処には途中下車しただけだから18時の電車でまた行かなくちゃいけないんだ」
「……そう、ですか」
(二か月ぶりに逢えたのに……)
ほんの四時間足らずしか一緒にいられない。だから──
「じゃあ行きましょう。時間、ないし」
「……」
少ない時間しか一緒にいられないからこそ、私たちはその貴重な一分だって無駄にしたくなかった。
田舎にありがちな安っぽいラブホテル。いつからか其処が私と辰巳さんの愛を交わし合う場所となっていた。
「あ……んっ」
時間をかけて全身をくまなく愛撫された後の挿入は気持ちいい。
緩やかな腰の動きで潤みまくっている中を丁寧に擦ってくれる感じが私を大切にしてくれているように思えて仕方がない。
中がざわついて来たのを敏感に感じ取って緩やかな動きを徐々に速めた。
じゅくじゅくと溢れる愛液が迸る中、辰巳さんと共に絶頂を迎えた。
薄いゴムを通して辰巳さんの温もりを感じて、思わず辰巳さんの首に回していた両腕に力を入れた。
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