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「すまん！ 本当に今回の事はすまなかった！！」
「……」
「だけど！ ……実は借金のカタっていうのは……嘘、なんだ」
「はぁ？！」
「しーっ！ し、静かにしろ！ 訊かれたら殺されるっ」
「きちんと説明しなさいよ」
「……実はオレ……愛の他にも付き合っている女がいて……」
「あの女ね。頭悪そうな」
「そんなこと言うな！ あれでも可愛いところがある奴なんだ！ お前と違ってオレのこと小馬鹿にしないし──……あ」
「小馬鹿、ね。そう思っていたんだ」
「……ご、ごめん」
「……」
一方的に好意を寄せられ熱心に迫られた末に根負けして付き合い始めたけれど、なんでも私のいうことを聞いて思い通りに動かせる男だったから付き合いは長く続いた。
そしてそんな従順さに徐々に情が湧き、好きという気持ちに傾いて行ったというのに、だけど本当はそんな私に嫌気が差していたんだなと、今こんな状況になって知った。
（だけど今はそんなことどうでもいいのよ）
いまさらこの男にどうこう言っても仕方がない。今はもうこの男に対しての怒りのベクトルは違う方向にあるのだから。
「あんたのことなんかどうでもいいのよ。私が訊きたいのは佐武のこと。どういう状況になっているのよ」
「さ、佐武に……二股掛けていることがバレて、それですげえ怒突かれたんだ」
「！」
ここに来てようやく事の次第が分かったような気がした。
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