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「ねぇ、雅流くんって本当に私のことが好きなの?!」
ひょんなことから溜まっていた不満を雅流くんにぶちまけてしまった。
「どうした、いきなり」
「だって……」
雅流くんのひとり暮らしのマンションで勉強を教えてもらっている時にする話ではないと思うけれど、今訊かないでいつ訊くの?! というくらい切羽詰っていた。
恥ずかしい気持ちを押し殺しながら話を続けた。
「だって付き合ってからもう一年になるのに雅流くん、私に何もしないから」
「……」
「友だちも付き合っているのに何もないのはおかしいって言うし……こんなので私、本当に雅流くんの彼女なの?」
「……」
「雅流くんが私に何もしないのは本当は私のことを好きじゃないか──」
「──七重」
「?!」
いきなり視界が反転した。どうやら雅流くんに押し倒されているみたいだった。
両手首をギュッと握られた雅流くんの掌は熱かった。
「やっと言ってくれたか」
「は?」
「やっと……ようやく七重から俺を望んでくれたな」
「ど、どういうこと……?」
雅流くんが何を言っているのか全く理解出来ない私はジッと見つめられている雅流くんの視線から目が逸らせないでいた。
「七重から俺を求めてくれるのを待っていた」
「?!」
突然首筋に柔らかいものが押し当てられた。
「綺麗な七重を俺の欲望で穢すことだけは絶対にしたくなかった」
「っ!」
雅流くんが言葉を紡ぎながら二度、三度首筋をきつく吸った。
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